流涙症ってなに?
辛いとき、悲しいとき、感動したとき。そんなとき、涙は自然に出てきます。でも、理由もなく涙が流れ出すことがあります。一般的には「涙目」、医学的には「流涙症(りゅうるいしょう)」と言います。
流涙症の症状
流涙症が軽い場合、部屋の中で涙は出ませんが、寒くなって冷たい風が当たったりすると流れ出ます。
重症になると、風がなくてもいつも涙が流れ出し、風が当たったりするとより一層ひどくなります。しょっちゅうハンカチなどで拭かなければならず、かなりうっとおしいものです。
主な症状としては、
①うるんで視界がぼやける
②目の周りがただれやすい
③目やにが溜まりやすい
正常の涙液量
流涙症患者の涙液量
涙はどこで作られ、その行き先は?
涙は、上まぶた外側の奥にある「涙腺」というところで作られ、上下のまぶたの鼻側(目頭)にある「涙点」から吸引され、涙小管→涙嚢→鼻涙管を通って鼻の奥に流れていきます。
この涙の通り道が、細くなったり詰まったりすることで、流れなくなった涙が目に残り、うるうるとした涙目になります。
まぶたは、涙の排出のためポンプの働きをする重要な役割を担っていますが、この機能は加齢とともに低下します。加齢によりまぶたを開閉する力が弱くなることも影響します。
鼻涙管の閉塞や狭窄
流涙症の原因で特に多く、先天的と後天的に分類されます。
《A:先天的鼻涙管閉塞》
赤ちゃんによくみられ、鼻涙管と鼻腔の間に粘膜が残ったままになって開通していない状態です。このため、いつも目がうるんで、涙の通り道の中で細菌感染を生じると目やにが多く出るようになります。
《治療》
成長とともに自然に治ることがあります。まず涙嚢マッサージを行います。
自然に治らず涙嚢マッサージの効果もない場合には、処置や手術を行います。
①ブジーの挿入
涙道の閉塞部分を開通させるため、ブジーという金属製の細い棒を涙点から
挿入する方法です。
②ヌンチャク型シリコーンチューブ(NST)
武術で使うヌンチャクのようなかたちのシリコーン製チューブを涙点から挿
入し、閉塞・狭窄部分を拡張する手術です。
《B:後天的鼻涙管閉塞》
多くは原因不明ですが、感染や炎症などが原因となることがあります。
《治療》
①ヌンチャク型シリコーンチューブ(NST)
②涙嚢鼻腔吻合術
涙嚢-膜性鼻涙管と鼻腔(鼻の奥)を直接つなぐバイパス手術です。