最高のコーチは、教えない。/吉井理人
日本ハムとソフトバンクを日本一に導き優勝請負人ともいえる千葉ロッテマリーンズ投手コーチの吉井さんの書籍だけあって、野球ネタのシチュエーション、その時の言葉や思いなどがとても具体的に書かれていて解りやすかった。野球が好きなので尚更である。吉井さんは、かつて大谷翔平投手やダルビッシュ有投手をコーチングし、筑波大学でコーチングの理論を体系的に学ばれただけあって、コーチングの本質を学ばせて頂けた。野球のコーチも上司といえる立場の人が読んでもと面白いと思う。職場に置き換えてみると「究極の上司像は、コーチングの結果、部下が何でも一人でできるようになり、はた目から見るとサボっているようにしか見えない上司だ。」以前、”最高のリーダーほど教えない””何もしないリーダ”というタイトルの書籍を読んだことがある。共通することは、自分で考え、自分で行動することで、勝手に成長するということ。
●主体は選手。個が伸びれば組織は強くなる
選手が最大限の能力を発揮できるように選手がどのように協議をしていきたいかを中心に考えるのが、コーチングの基本的な考え方。
●小さな課題を設定し、成長のスパイラルをつくる
簡単で小さな課題を設定し、小さな成功を継続的に積み上げていく方法がある。
課題設定矢印右️振り返り矢印右️新しい課題の設定というサイクルが習慣になるまで徹底的に繰り返す。
●質問で深掘りし、相手にとことん語らせる
60点をつける根拠となったプラス面から聴く。
●コーチは絶対に答えを言ってはいけない
コーチは、選手に自分の言葉で語らせることに徹底して意識的にならなければならない。もし言うとしても、「自分だったらこうしたかもしれない」「こんな選択肢もあるかもしれない」というヒントを口にする程度に留めておく。
●代行によって、相手の立場に憑依する
旧来のコーチにありがちな「自分だったらこうする」と考えるのではなく、視点を変えて「その選手だったらどうするか」と考える。
●良い面に意識を向けさせる質問をする
「出来たところは何?」という質問に変えてからは、プラス面を意識するようになり、前向きなミーティングに変わった。
●成長のために自ら課題を設定させる
自ら課題を言語化し、常に忘れないように意識するため書いておくことが重要。
大きな目標を達成するために自ら小さな課題を設定し、自ら解決する。そして、振り返りを行い、新しい小さな課題を設定する能力を培う指導は、コーチングの基本。